そこで、同じ薬理作用を持つ薬の中では脱毛率の低い薬が選ばれる。氷を入れた冷却具を頭にかぶせ、血流を悪くして抗がん剤が頭の部分にいかないようにしたり、毛の根元の部分に栄養を行き渡らせる育毛クリームをすり込んだりする方法も行われている。
脱毛に悩む患者の苦痛を少しでも和らげようと、昨年暮れからは、かつらを無料で貸し出す運動も始まった。始めたのは、白血病で亡くなった女優の故夏目雅子さんの兄の小達(おだて)一雄さん。夏目さんが、脱毛を気にしているのを見たのが動機だ。
小達さんは雅子さんの遺産をもとに基金を設立した。現在までに子供も含め、約四百五十人に貸し出している。共鳴者から寄付されたかつらは、いらなくなった物を含め七百個。とりわけ意義のあるリサイクルといえそうだ。
薬と消費者の問題に詳しい東京都地域婦人団体連盟の長田三紀・事務局次長は「広告がとりあげる疾患は病院に行くほどではないと一般に思われているような境界線上のもので多いようだ。人によっては良い情報となる場合もあるかもしれないが、安易に額面通り受け取らず、本当に自分に必要か、考えることが大切だ」と指摘する。(高梨ゆき子)
タレントやアニメキャラクターを起用し、様々な疾患啓発広告が展開されている